持続可能な開発のための海洋科学を推進する「国連海洋科学の10年」の取り組みが2011年から世界で始まりました。その中で、適切な人手を加えることで海洋の生産性と生物多様性を高め、海の豊かな恵みを未来へとつなぐ「里海」活動が、日本では独自に推進されています。フランスでは、「里海」を「Nature et Culture」と名付け、仏日海洋学会が取り組んでいます。この講演会では、「国連海洋科学の10年」の中間年の今年、フランスのニースで開かれた第3回国連海洋会議で採択されたアクションプラン、フランスの里海活動、沿岸域管理、洋上風力発電ファームと環境などについて市民向けに紹介します。
プログラム
司会進行:荒川久幸(日仏海洋学会)
14:00 開会挨拶および趣旨説明:小松輝久(日仏海洋学会会長)
14:10 道田豊(東京大学大気海洋研究所)「国連海洋科学の10年:ニース アクション プラン」
14:40 イヴ・エノック(仏日海洋学会)「西ヨーロッパのフランスおよび東アジアの日本における海洋および沿岸社会—生態系の地球規模から地域規模までの統合管理」
15:10 パトリック・プルーゼ(フランス国立海洋開発研究所)「自然と文化のあいだ:フランスにおける通し回遊魚を漁獲する沿岸・河口漁業の伝統文化的価値」
15:40 休憩
15:50 ジャン=クロード・ドーヴァン(カーン・ノルマンディー大学名誉教授)「フランスの洋上風力発電所とイギリス海峡におけるその実現への海洋生態学研究の貢献」
16:20 中原裕幸(横浜国立大学)「洋上風力と漁業—共存・協調への途—」
16:50 総合討論 司会:小松輝久(日仏海洋学会会長)
16:55 閉会挨拶 中山一郎(日仏海洋学会副会長)
16:55 閉会
講師プロフィール

道田豊
1958年生まれ。1981年東京大学理学部地球物理学科卒業、同大学院修士課程修了後、1984年海上保安庁水路部へ。第28次日本南極地域観測隊員、科学技術庁併任を経験。1999年博士(理学)取得。2000年より東京大学海洋研究所助教授、後に大気海洋研究所教授、副所長を歴任。専門は海洋物理学、海洋情報管理、海洋政策。日本ユネスコ国内委員会委員。2015年海洋立国推進功労者表彰(内閣総理大臣賞)、2019年ユネスコIOC/IODE Award受賞。IOC副議長、総会・執行理事会決議委員会委員長を務め、国際的な海洋観測推進に貢献。2023年~IOC議長、現在2期目。

イヴ・エノック
仏日海洋学会副会長。1977年海洋生態学博士号取得後、ブルターニュで小規模漁業関連の養殖・底生生物研究を開始。1981年より日本で日仏会館研究員、駐日フランス大使館科学アタッシェとして活動。1987年にフランスへ戻りIFREMER(フランス海洋開発研究所)で地中海沿岸経験後、海洋ガバナンスと統合管理に注力。2013年よりIFREMERアジア太平洋地域特派員として東京駐在、JAMSTEC(海洋研究開発機構)等で研究。現在はフランス財団海岸専門家委員会「環境プログラム」委員長。2015年にフランス国家功労勲章ナイトを受章。

パトリック・プルーゼ
仏日海洋学会会長。1978年ブレスト大学で生物海洋学の博士号、2005年には、ポー大学およびペイ・ド・ラドゥール大学で研究指導(Habilitation à Diriger la Recherche)を取得。海洋開発センター(CNEXO)およびフランス海洋開発研究所(Ifremer)で回遊魚の生物学と個体群動態を専門とし、フランス国立農業・食料・環境研究所(INRA)の水生生態学ユニット長。Ifremerアキテーヌ水産研究所長、DEMOSTEM(エコシステムアプローチ)プログラムディレクターの責任者を経て、Ifremer科学理事会メンバーや名誉研究ディレクターを歴任。専門はビスケー湾の回遊魚(サケ、ウナギ)および小型浮魚の生態学と管理に関する研究。近年は海洋漁業および内水面漁業の専門団体と連携し、エコシステムアプローチの実施に注力。フランス国家海洋功労勲章シュヴァリエを受章。

ジャン=クロード・ドーヴァン
海洋生態学者、カーン・ノルマンディー大学名誉教授。 カーン、その後パリで学び、1984年に石油汚染が底生生態系に及ぼす影響に関する研究で国家博士号を取得。キャリアを通じて、人間活動が沿岸・河口域生態系に与える影響について研究を続けてきた。海洋科学の教育と研究に尽力し、若い世代の育成にも貢献。また、海洋空間計画に関する政策やイギリス海峡における海洋保全プロジェクトにも深く関与。端脚類と多毛類の専門家であり、20種以上の新種をサイエンス誌に記載している。2024年7月、海洋環境に関する知識への長年にわたる貢献が認められ、フランス国家海洋功労勲章オフィシエを受章。

中原裕幸
1948年生まれ。1972年上智大学卒。同年(社)海洋産業研究会〔現・(一社)海洋産業研究・振興協会〕に入職。1983年南カリフォルニア大学でMaster of Marine Affairs取得。2020年同会を常務理事で退職、現顧問。在職中に洋上風力の漁業協調提案まとめに従事。元再エネ海域利用法に関する経産省国交省合同会議委員、現同法地方協議会委員〔青森日本海(南側)、長崎県西海市、山形県遊佐沖〕、神戸大学リサーチフェロー、横浜国立大学非常勤講師、日本海洋政策学会顧問、元JAMSTEC(海洋研究開発機構)監事。

