全4回の連続講座です。
開催日時:2026年2月3、10、17、24日(各火) 18:00-19:30
時代と社会を問わず、文学はつねに人間のあり方を模索し、社会の困難と対峙し、世界の意味を問いかけてきました。そして時には、来るべき社会の構図を予言することさえあります。文学は社会と歴史が遭遇する問題に、即効性のある回答をもたらすことはありませんが、それをより深く、そして新たな視点から考えることを可能にしてくれます。この講座では、近現代のフランス文学を対象にして、作家たちがどのように社会と歴史に向きあってきたかを考えてみます。毎回ひとつのテーマと数人の作家を中心にして、現代の人文科学の成果や日本文学の状況にも目配りしながら話を進めていきます。
各回テーマ
・第1回 2026年2月3日 「歴史と物語」
作家はどのような技法と歴史観にもとづいて歴史を語ってきたのか、現代の歴史家の仕事と関連させながら考える。フロベール、プルースト、ジャブロンカなど。
・第2回 2026年2月10日 「パリの表象」
19世紀以降フランス文学はパリを舞台にしたものが多い。パリはなぜ、どのように語られたのか。ボードレール、ゾラ、シュルレアリスム文学、永井荷風など。
・第3回 2026年2月17日 「オリエント紀行の系譜」
作家による旅行記文学が増える19世紀以降、その重要な目的地のひとつがオリエントだった。作家たちはそこで何を見たのか。シャトーブリアン、ロチなど。
・第4回 2026年2月24日 「女性作家の世界」
女性作家たちが置かれてきた文化的、社会的状況を考慮しつつ、彼女たちの作品のテーマとジェンダー性を考察する。サンド、コレット、エルノーなど。
参考書籍
小倉孝誠『ボヘミアンの文化史――パリに生きた作家と芸術家たち』平凡社、2024年
小倉孝誠『歴史をどう語るか』法政大学出版局、2021年
小倉孝誠『逸脱の文化史――近代の〈女らしさ〉と〈男らしさ〉』慶應義塾大学出版会、2019
講師プロフィール

小倉孝誠
慶應大学教授。専門は19世紀フランス文学、アナール学派歴史学。主な著書に『挿絵入り『イリュストラシオン』にたどる19世紀フランス夢と創造』 (人文書院、1995、渋沢クローデル賞)、『ゾラと近代フランス 歴史から物語へ』(白水社、2017)『歴史をどう語るか 近現代フランス、文学と歴史学の対話』(法政大学出版局、2021)、 『ボヘミアンの文化史 パリに生きた作家と芸術家たち』(平凡社、2024)ほか多数。責任編集『ゾラ・セレクション』(全11巻、別巻1)で2025年度日本翻訳出版文化賞を受賞。

