フランス側

 エリーズ・ヴォワイヨ

『「写真売ります!」⽇本写真における1968 年以降のラディカリズム再考――ワークショップ写真学校 (1974-1976) の場合』

博士論文

東京外国語大学世界言語社会教育センター特任講師。エコール・デュ・ルーブルとパリ・シテ大学を卒業し、東洋言語文化学院(INALCO)博士課程終了。博士課程在籍時に、東京大学と早稲田大学で研究活動をおこなう。博士論文が渋沢・クローデル賞、Chancellerie des Universités de Paris賞、Okamatsu Yoshihisa賞を受賞。研究のテーマは1960年代後半のプロテスト運動以降における日本の写真。
©安田和弘

受賞者の言葉

 この度は、私の研究に対して渋沢・クローデル賞をいただき、大変光栄に思います。審査員の方々、指導教員のミカエル・リュケン氏、そして、フランスと日本の両方で、可能な限り最高の条件のもとで研究を進めることができるよう助けてくださったすべての方々に感謝申し上げます。
 私の研究は、写真家の東松照明、森山大道、荒木経惟、細江英公、深瀬昌久、横須賀功光らによって設立された独立「ワークショップ写真学校」に焦点を当てたものです。同校は1974年から1976年までのわずか2年間しか存続しませんでしたが、閉校直前には「写真売ります」と題したオリジナルプリントの展覧会を開催し、激しい論争を巻き起こしました。現代美術市場に写真を紹介しようとした写真家たちは、プロテスト運動の後継者である同時代の人々から、彼らが1960年代に発展させた日本的ラディカリズムを放棄したとの批判に直面しました。この論争において、写真は、ワークショップの写真家たちが進んで採用したアメリカから輸入された美術市場モデルと、作品やオリジナルという概念を覆し、写真に資本主義システムを破壊する力を与えた理論との間の緊張関係を体現していました。
 欧米では近年、戦後から現代にかけての日本の写真が注目され、フランスでも、本論文で取り上げる写真家たちを紹介する展覧会が数多く開催されてきました。しかし、これらの時代を問題化しようとする学術的研究はほとんどありませんでした。ワークショップ派の研究は、「政治の季節」以降の時期がアパシーや挫折の時期ではなく、議論や実験の時期でもあったことを示しています。また、文化施設における日本の表象が中立的なものではなく、この時期に展開された交渉と戦略の結果であることも、より一般的に示しています。映像はしばしば展示され、公開されてきましたが、テキストを研究することで、文脈を理解し、現代世界の歴史の中での日本を再考することができるでしょう。