全国大学国語国文学会 夏季大会
シンポジウム「日本文学史の再構築――ヨーロッパの視座から――」
パリ・シテ大学教授 ダニエル・ストリューヴ先生が登壇されます。
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『源氏物語』における「もののあはれ」――外部からの再検討の試み(パリ・シテ大学教授 ダニエル・ストリューヴ)
「もののあはれ」について多くの研究が存在するが、その多数は本居宣長の「源氏物語」論の影響下にあって、この用語を『源氏物語』を解釈する鍵の美的概念として論じきた。本発表では、このような後世の解釈の系譜をいったん括弧に括り、平安時代中期におけるこの用語の本来的な意味に焦点を当てたい。『源氏物語』とそれ以前の文献における「もののあはれ」の用例を分析し、その意味と用法について検討する。
まず『土佐日記』冒頭と『大和物語』四十一段等の早い例を検討し、これを踏まえて『源氏物語』の用例十七例のうち、有意なものを取りあげ、自然であれ、人事であれ、「もののあはれ」という言葉から連想されるイメージについて論じる。
「もののあはれ」を具体的な文脈の中で捉え、原文の精読から読み取れるものを整理したい。特に同じ文脈で共起する頻度が高い「をかし」や「面白し」との関連性についても論じる。
さらに、「もののあはれ」の口語訳や英語・フランス語訳について検討を加えたい。多くの場合は「もののあはれ」をメランコリー(melancholy)や哀しみと同一視する傾向が見られるが、この「もののあはれ」の解釈が『源氏物語』の受容にどのように影響するのかという問題を取り上げる。
これらの検討を通じて、『源氏物語』における「もののあはれ」の意義についてまとめたいと思う。
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参加応募締切 2025年6月21日
参加費無料・オンライン参加も可能
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