日仏シンポジウム「芸術照応の魅惑VI 文学と芸術における晩年スタイル」
第5部:晩年スタイルと現代性(モデルニテ)の追求 より

・司会による紹介 00:00-2:08
・アンリ・セッピ(ソルボンヌ・ヌーヴェル大学)「昇る太陽か「瀕死の太陽」か――デカダンス文学と晩年スタイル」 2:09

※日本語字幕・通訳音声はございません。

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 一般に、文学者や芸術家は歳をとるにつれて寡作になり、やがて創作の場から身を引くものだと考えられています。しかし、レンブラント晩年の自画像を称えたゲーテ、プーサン最晩年の絵に感知される手の震えを「すばらしい時の震え」と称えたシャトーブリアン、あるいは、70歳はなお未熟で、100歳にしてようやく神妙な境地に到達すると言い放った北斎のように、晩年固有の創造性に注目する見方もあります。20世紀には、青年期や壮年期とは断絶した境地と技法を示す晩年(後期)様式が未来を予告する力をはらむ、という考え方が顕著になります。ベートーヴェン晩年の弦楽四重奏曲にシェーンベルクの作品の先駆けを見るアドルノやサイードの音楽史観がその一例です。
 晩年スタイルと身体的な老いとが相関的であるのは明らかですが、老いればだれもが晩年スタイルを獲得するわけではなく、逆に、晩年スタイルは高齢の芸術家の専有物でもありません。本シンポジウムでは、美術、文学、思想といったジャンルに根ざす晩年スタイルに加えて、夭折と晩年(後期)スタイルの関係や、晩年スタイルがはらむ現代性(モデルニテ)への志向をジャンル横断的に考察します。

開催日:2025年5月17日(土)、18日(日)
主催:(公財)日仏会館
助成:(公財)石橋財団
協力:日仏会館・フランス国立日本研究所